2日目は豊田市エリアへ。
まずは喜楽亭のホー・ツーニェン《旅館アポリア》
アポリアって地味にどおいう意味なんだろ、と思って調べると

〔「道がないこと」の意〕

問題を解こうとする過程で、出合う難関。難問。哲学では、同じ問いに対して二つの合理的に成り立つ、相反する答えに直面すること。論理的難点。

とな。
戦時におけるプロパガンダに加担した側として京都学派の哲学者が何人か出てきたのだけど、彼らが語る思想の言葉は今聞いてもスッと頭に入ってくる部分があって、「あれ?ということは特攻で死ぬことは正しいのか?」って思ってしまった自分が怖い。
京都学派による戦争協力については、REALKYOTOで小崎哲哉さんが詳しく書いていて(こちらからどうぞ
中心人物の田邊元について、外交官で文筆家の佐藤優が述べたという以下の内容

「彼はあの戦争に多くの学生たちを送り込みました。自分の理論によって日本は大東亜戦争を正当化した、あるいは学生たちはおのれが特攻死することを正当化した、そのことに関して彼はまったく反省していなかった。それは日本全体に責任があるんだと。だから懺悔は日本全体でするべきであって、自分に特別の責任があるという発想は、まるで持っていなかった人、ものすごく無責任な人です」と非難している(佐藤優『学生を戦地に送るには』)。

は、現代を生きる自分ですら一瞬違和感なく受け入れてしまった危険な筋道と、それに対して自覚的でありながら責任を取ろうとしない本人への非難として、本当にそうだと思ったなあ。
神風特別攻撃隊の草薙隊は喜楽亭で出撃前の最後の夜を過ごしたそうで、その若者たちの写真が出てくるのですけど、背中に「犬飼」って書いてあった男性は、その後に出てくる名簿で「散華」となっていて悲しかったです…。
続いて豊田市美術館へ。
こちらは好きな作家タリン・サイモンの《公文書業務と資本の意思》
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国際的な条約が結ばれる時のテーブルに置かれるアレンジメントを再現したもの。同じ季節・同じ場所に咲くことのない花を取り合わせた「不可能な花束」の概念は、17世紀オランダの経済成長と資本主義の発達と並行して、静物画に登場したそうで。ファンタジー上のものだった花束が、今やグローバルな消費者市場によって当たり前のものになっているわけですが。
ちなみに上が、ベネズエラとキューバで結ばれた包括的協力協定の調印式で飾られたアレンジメント。質素さがダントツ。
下は、カンボジア王国政府とオーストラリア政府間におけるカンボジアの難民受け入れについての覚書の調印式のアレンジメント。この協定、解説には「先進国が経済的優位性を利用して難民の受け入れ責任を他の国に転嫁する前例」って書かれてますね。
あとはー
レニエール・レイバ・ノボとか
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スタジオ・ドリフト
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どどーんと高嶺格
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は、ミュンスター彫刻プロジェクト2017で見た、ピエール・ユイグの作品を思い出しつつ。
そして今はない水に思いを馳せつつ
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豊田市民ギャラリーでアンナ・ヴィットの作品を見て、上の階にあるタイ料理屋さんで遅めの昼食。(食べてみて、揚げ麺がちょっと苦手なことに気づいた)
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の後、小田原のどかさん
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小田原さんといえば、以前教育大の公開講座でお話されていた矢形爆心地標にまつわる調査が興味深かったのですが、第16回芸術評論募集で入選作「幻の第一席」となった論考「彫刻を見よ:敗戦と占領から生まれた彫刻をめぐって」が、なんと会場で無料配布されてまして。
彫刻について深く考えたことのなかった自分にとって、「こんな背景があるんだ!」という発見の連続。いやー、これが無料とは…太っ腹すぎる…。じっくり読み進めてます。
和田唯奈(しんかぞく)《レンタルあかちゃん》は、たまたまその場にいらしたお客さんがミッションをクリアしていく様子を、横で一緒に見させていただくことに。
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あかちゃんとのお別れの時は一抹の寂しさあり。それにしてもみんなの描いたあかちゃん、自由だったな…。
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見学を快くオーケーしてくださった見知らぬお方、ありがとうございました〜。
豊田市駅下では、あとトモトシさんの作品を見て
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名古屋市内へ。
長くなったので、続きは次回に。
(編)
 

 

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