ジェニファー・エバーハート『無意識のバイアス  人はなぜ人種差別をするのか』読了。
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これは結構読み進めるのが気持ち的にしんどかった…。
潜在的なバイアスに関する長年の研究で、警察官や学生などさまざまな参加者を対象に課題を実施し、黒人と犯罪等のステレオタイプ的な関連付けが強固であることや、その思い込みは体の大きさに対する認識まで歪ませ脅威を察知させることが判明していて。
それらは脳の基本的な機能として無意識的に行われ、意識的に抗おうとしても難しいほどの強固な働きであると。
「ただ車を運転しているだけで」
警察に止められ、そのときの些細な対応のせいで逮捕され(ときにはその場で射殺され)、保釈金を払う余裕がなければ裁判までの日々を拘置所で過ごす羽目になり、そのせいで仕事を失う可能性や生活が立ち行かなくなる人たちは検察官との取引で(してもいない罪を)自白し、前科を背負い、その後の人生で住める場所や就ける仕事が制限され、選挙権も失う。
「ただ車を運転していただけなのに」、上記のことが、人種バイアスのせいで起きてしまう。
そしてこれが「黒人である限り、誰にでも明日にでも起こりうることなのだ」という凄まじい理不尽さに、頭がボーッとしてしまった。(これが日本社会で自分の身にも起こることだとしたら…と想像してみても、頭に靄がかかってしまう)

後半ではバイアスを抑制する方法を学ぶことが重要だと述べられていて、そのためにバイアスが活性化する可能性の高い条件がいくつか紹介されているのですが、中でもバイアスの強力な引き金となるのは「迅速性と曖昧さ」なのだそうです。
その条件をなくすための実証済みの手法としては、履歴書に自らの業績について具体的な数字や指標等で明確に提示することや、カメラを設置して映像で確認できるようにすることなど。(警察官のボディカメラとか)
そして、そういった状況的な影響に加えて、人と人との個人的なつながりもバイアスを超えていく力であると。
「人は肌の色、年齢、体重、人種、訛り、障害、身長、性別など、あらゆる特徴に基づいてバイアスを持つことがありうる。」と書かれているように、私もバイアス(を持つこと、持たれること)からは逃れられないのだけど
バイアスを持つことについては「迅速性と曖昧さ」をなるべく避けて、判断の場面では一歩立ち止まって反芻できるようになれるといいなあ。(難しそうだけど…)
本書の帯のね、「私たちは見て判断するのではない。判断して見ているのだ。」が本当に重いです。
(編)
 

 

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