今回の旅行中に見たものの中で自分的にかなり印象に残った作品なもので、トークイベントと合わせて結構な長文です。まあ、言いたいことは「てんぐダンスショー、ヤバかった…」に尽きるのですけど!

ではここから。

神戸到着初日の夜は、KIITOアーティスト・イン・レジデンス2016 招聘作家の東方悠平さんとキュレーター/鳥取県立博物館主任学芸員の赤井あずみさんによるトークイベント「まちに介入するアートの可能性 〜てんぐバックスカフェから考える〜」へ。

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「てんぐバックスカフェ」は、「ちびっこうべ2016」(子どもの創造教育+クリエイティブに関するKIITOの柱的な体験型プログラム)のお店の一つとしてオープン。

「子どもたちがプロから学び、子どもたち自身で夢のまちをつくり、まちでの仕事を通してクリエイティブを育てていく」というちびっこうべのシステムはとても完成されているので、

その中における異物的なカフェとして、例えば入店ではなく「入国」という形にしたり、ちびっこうべのものとは違う独自通貨を使ったり(そのための両替所があったり)、ちびっこうべのシステムとは異なる(意味があるかと言われれば、あまりない)ルールが支配する場所、を目指したというようなことを話していたような。

※てんぐバックスカフェができるまで、は、KIITOのレポート(造形WS編ダンスWS編)をご参考にどうぞ。

その中で、実際に最初のカフェ営業を体験後、(飽きっぽい)子どもスタッフからダンスショーでの「てんぐ銃」オプションが提案されたそうなのですが

その、東方さん自身よく把握していないという、子どもスタッフが勝手につくった「てんぐルール」の存在を聞いたとき、素晴らしいなと。

私たちが生活する人間社会はとてもよくシステム化されているので、そこで生まれるアイデアはそのシステムに則ったものになりがちです。情報を整理して効果的に届ける「デザイン」という作業も、そのシステム上で機能することが想定されているわけで。

でも、そのシステムに回収しきれない思考回路、そこから飛躍する思考回路を生むための手段が「まちに介入するアート」の役割なのかもしれないなーと、てんぐ銃エピソードを聞いて実感として感じられたというか。

「てんぐバックスカフェ」という日常と全く地続きじゃない場所での体験を通して、理屈が通ってそうで通ってないてんぐルール(でも、子どもの遊びで繰り広げられることって、ほとんどそんな感じだ)が考案され、そこからまた新しいやり取りが交わされていくのって、

最終的には、既存ルールに縛られない何かをつくって社会を変える、みたいなことにつながっていくのかもしれないなあ、と。そう思うと、もうこれこそ「まちに介入するアートの可能性」だなあ。

なんとなく、フランス語の「遊び(Le Jeu)」には「賭け」という意味も同時に含まれるってこと、思い出しました。

この日は、ちびっこうべ自体はオープン日でなく子ども不在だったので、翌土曜日にいざ夢のまちへ。

ちびっこうべは基本的に子どもしか入れないまち、ということなのですが、ご好意で視察させていただけることに。ありがたや。(写真はちびっこうべのインスタをご参考にどうぞ)

ちなみにちびっこうべのシステムを先に説明しますと、会場に訪れた子どもたちはまず「市民登録」をし、ハローワークで仕事を選んで働きます。

そうすると働いた分だけまちの通貨「キート」をもらえるので、その「キート」で買い物や体験をする、というもの。

てんぐバックスカフェでは「キート」は使えないので、カフェ内の両替所で「テング」に両替してもらう形です。

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私がてんぐバックスカフェに到着したときは、WS参加組のこどもスタッフの他に、ハローワーク経由でカフェ店員として働いている子どもと、お客さんの子どもが混在しておりました。

やっぱり、ハローワーク経由で訪れた子どもたちをうまく回していかないといけないとなると、「意味のないルールが支配云々」ってことは正直薄れるというか、てんぐバックスカフェもちびっこうべシステムに侵食されている感があったのです。

がしかし。

が!しかし!!!

「じゃ、てんぐダンスショー始めまーす」と、なんの気負いもなく子どもがステージに上がりお面を着用し、

音楽が流れて照明が変わった瞬間、

ちびっこうべシステム云々は瞬時に吹っ飛び、目の前に、異世界が…!!!

あーーーー、この瞬間の劇的さって、全然うまく伝えられない。伝えられなーーーーーーーーーい!

もともとの振付のなんとも言えない軽ーく異様なところ(←最高の褒め言葉です)とか、バックに流れるフリー素材のカフェ音源との組み合わせとか、「照明ってこんなに笑いを誘うものだっけ?」という照明効果とか、

加えて、振付を覚えていないたどたどしさや何気なく足を掻く仕草(全くの素の行為)まで

全てがダンスになっているというか(そしてそれは「下手うま」とは違う、とはっきり言いたい)、もうそのときその瞬間にしか現れないダンスとして強烈というか

 

本当に「なんだこれーーーーーーーー!!!」って感じの凄いことになってまして…

興奮のうちに5分ほどのダンスショーが終わるという…

もう心底ワナワナとしてしまって、つい3回も見てしまいました。ダンスショー。

それにしても、なんでああいう効果が生まれたんだろう???

あのてんぐのお面に潜む、造形的な魔力みたいなものなのかしら。

やや未分化な子どもの身体のサイズ感も関係あるのかなあ。

でも、単純に身体のサイズとか言い出すと、バレエの発表会とかで幼児が踊るのも同じなのか?ってことになるけど、あれはただかわいいだけで、てんぐダンスとは全然種類が違う。

ここまで書いて、ああそうそうって思ったのは、てんぐダンスは「子どもってかわいいよね」という枠からはまるきり外れてて、なんか、「異様さ」と「すっとぼけた愛嬌」が同時に存在するほのかに狂った感じというか。

いやー、あの時間と現象のとんでもなさは、まだ全然謎ばかりだなあ。

自分が見た3回はどれも同じ子どもたちが踊っていたので、違う組のときに見ていたらまた違った印象を持ったかもしれないしなー。

そう考えると、ホントミラクルなタイミングだったのかもしれないな。

※追記:11/9に投稿した「脳内の途中経過」も合わせてどうぞ。

多分そのうちKIITOか東方さんのウェブサイトに、ダンス映像も載るのではないかなーと期待しつつ、パフォーマンスと記録映像は常々全く別物ではあるのですが、映像は映像として楽しもうと思います。

いやはや、てんぐダンス。凄かった…

※3/24追記:てんぐバックスカフェ in Kobeの記録映像、アップされてました。途中からダンスシーンも。やっぱりなんとも言えない味があるというか、最高!

———————-

ということで、お次は瀬戸内編に進みます。

※京都編はこちら

※神戸編その1はこちら

(編)

 

 

 

 

 

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