『クマにあったらどうするか』語り手・姉崎等 / 聞き書き・片山龍峯
読了。
伝統的なクマ猟を本職とした、アイヌのクマ撃ち猟師である姉崎等さん。彼は「クマが自分の師匠」と言います。「クマの足跡を見つけて追っていくうちに、山の歩き方やクマの行動などを全て学んだから」です。
全く知らない山をただクマに頼って後を追って歩くうちに、「なるほど、こうやって歩けば楽だよな」と感心しながら。
ちなみに、人間から山歩きを教わった人が後ずさりするような場所も、姉崎さんは歩いたそうです。「人間から教わったのとクマから教わったのとの違いだと思います」って、すごー。
で、本書。
猟についての具体的な話や、猟犬といかに信頼関係を築くかという話も興味深かったけど、やっぱり、クマの習性を知り尽くし、クマの立場で人間との関係を考えられる姉崎さんならではの、「クマにあったらどうするか」がとても面白かった…!!!
そして、読み進めるほどに、クマという生き物の素晴らしさが伝わってきて、
聞き手の片山さんの「人間がクマのエリアに入り込むような時代に、どのようにしたらクマと共存できますか?」という質問に対する姉崎さんの「そうですね、人間が言うことを聞いてくれる時代は来ないでしょうね」という答えを見たとき、涙がこぼれてしまった。
「規制を作っても、クマの方は守るかもしれないけど、人間の方は守らないでしょう」と。例えば、山に入ったら山を荒らさない。自分たちが食べたものは全部持ち帰る。とかね。
だから、「クマが悪いんじゃなくて、人間の習慣で悪者にされちゃったんですよ」という言葉も激しく納得。
本当に、この本は北海道に暮らす人全員が読んだらいいんじゃないかな。小中高の課題図書にだってしてほしい。
話は変わりますが、片山さんが結構しつこく「クマとあったときに動かない方が本当にいいのか?」ということを繰り返し聞いていて、
最後の最後に出た、「声を出したりしていろいろ手を尽くしたけれども、運悪くクマが覆いかぶさってきて組み伏せられ、今まさに自分の顔にかぶりつこうとするようなときには、もう諦めるしかないんですか?」という質問に対する、姉崎さんの実例を交えた回答には、ちょっと笑ってしまった。
それは…果たしてできるのか…???
ということも含め、本当に素晴らしい一冊で、文庫だと840円とかで買えちゃいますので、ぜひ皆様ご一読ください。
ちなみに姉崎さんの愛犬の名前は「リュウ」でした。ゴールデンカムイに出てきた猟師・二瓶鉄造の犬の名前!
(編)
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