翌日は今回の遠出の一番の目的、某面接へ。聞いて話しての約4時間半で、出し尽くしました。
ダメ元ですけど、結果が出るまではドキドキだなあ。
そして午後に帰札する最終日、これまたずっと見てみたかった志賀理江子さんの写真展を見に、いざ東京都写真美術館へ。
shiga lieko
こちらの写真展レポートに展示風景の写真が掲載されてました。
等身大を超えるサイズの20個の壁面による写真インスタレーションで構成された本展。壁面の正面、左右にそれぞれ異なる写真が貼りめぐらされており、一つ一つにタイトルがついています。例えば、入口正面にある壁面1には、正面「人間の春・彼には見える」、左「人間の春・可燃物」、右「人間の春・芽吹き時」というように。
そして、全ての背面に「人間の春・永遠の現在」という名の同じ写真、全ての天面に「人間の春・彼が彼の体にある、ということだけが、かろうじて彼を彼たらしめている」が設置。
(天面はどうやって見るんだろう?と思ったら、展示室の天井の一角に鏡があって、それ越しに見る仕掛けだった。)
ということで、展示マップを手にいざ。
番号順に作品を一つ一つ見ていきながら、「人間の春・3019」というタイトルの写真を見た時、突如、時空をぶっ飛んでしまったような錯覚が訪れて驚き。言葉と写真の関係におけるミラクル。
その後、自分の歩く速度や位置によって見え方や現れ方が刻々と変わる写真の数々を、映像のような感覚で動きながら鑑賞。さらに続いて、写真が目に入るのに合わせてタイトルを心の中で呟いていくと、また違った印象となるもので、かなり長い間没入しました。
そうやって壁面の間を歩きながら眺めていた時に、「昨日と変わらない今日 今日と変わらない明日」が、空間にポッカリ空いた裂け目のように見えた瞬間にはハッとしたなあ。
思わず論考も読みたくなり、図録も購入。
DSCN1692
志賀さんの文章に、春になると全く別人格になる男性のことが書かれていて、

彼はこの「日常」に、傾いた地球の宇宙的な価値観を、その身体を媒介として持ち込んでいる。まるで感度のいいフィルムのように、あらゆることに対する感受のレベルが全く違うのだった。

とあり。
自分にも、毎年2月下旬くらいのだいたい同じ時期に訪れる、ある感覚があるもので(10年日記をつけるようになって気がついた)、この文章を読んだ時に自分の身体の中にある「自然」と結びついて、「そうだよなあ」と思ったのでした。
同時開催していた『写真の起源 英国』も、良い勉強になった感。
ちなみに図録購入時にクジを引いて、当たったのがこちら。
DSCN1693
東京都写真美術館の広報誌別冊「ニァイズ」
展覧会以外の業務やスタッフたちの素顔を漫画で紹介しており、これが予想外に面白い。
帰りの電車や飛行機の中でひたすら読み耽ったのですが、そこに登場する「泣く子も黙る一係係長。眼力も目ヂカラも一級品」のニワ学芸員

図録の最後に寄稿していた学芸員の丹羽晴美さんと結びつくまでに、やや時間がかかった私。眼力!
漫画で可愛いニャンコが写美のことを「高齢化美術館」「限界集落美術館」とか言ってるのも笑いました…。ガラスや照明の話も面白かったなー。
上のリンク先から読めるので、気になった方はぜひ読んでみてください。(私がもらった巻に収録されていたのはvol.40〜vol.95まで。)
(編)
 
 

 

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