『オホーツク』東欧ツアー移動時のお供は、パトリック・キングズレー『シリア難民』

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2016年発行の本書、2017年のドクメンタを見に行く前に読めてたら良かったなあ。

というくらいに、やっとこさ、ヨーロッパの難民問題のいろんなことがわかった次第。この本、素晴らしいです。

祖国を逃れてヨーロッパを目指すのは、シリア人、イラク人、アフガニスタン人、エリトリア人、ニジェール人、セネガル人など。彼らに取材し、時に同行し、彼らの声も交えて、何が起こっているのか、そしてヨーロッパはどのような対応をすべきなのかを分析。

住んでいた町での突然の監禁や拷問(普通の公務員男性にも理不尽に訪れる)、空爆で瓦礫となった自宅、密航船の出発地であるエジプトやリビアにたどり着くまでの過酷な道(多くの人が命を落とすサハラ砂漠越え)と、エジプトやリビアの密航業者による待機所での非人道的な環境(不衛生、拷問、レイプ)、そこからイタリアを目指して地中海を渡る船旅(物のように詰め込まれるのでとても「旅」とは言えない)の危険さ。運よくイタリアに着いてから、目的の国(ドイツやスウェーデン)までの過酷な道のり。

移動ルートがトルコ〜ギリシャに変わってからも、安全基準を無視した船移動の危険性は変わらず、EUの対応も非寛容なまま。

そんな中でも、難民を救援する側の活動や、当初難民のことを毛嫌いしていた救助船の雇われ船員の心境の変化があったり。(難民たちがイタリア上陸時に番号を与えられることに対して「彼らは人間だ。番号じゃない」と腹を立てたり、右翼政党のTシャツを着ている船長が「(船の)沈没があってはならない。神は命を与えられたのだから、人は生きなければならない。この仕事を誇りに思う」と語ったり。)

一般人が、法律に反して捕まる危険を犯しながら、難民を車で目的の国へ送り届けたり。

世界には、無数の邪悪さがあるけれど、同じくらい無数の善意もある。

この本を読むと、今まで目にしてきた映画の背景がさらにわかったり(例えばアキ・カウリスマキ『希望のかなた』)、以前気になっていた映画(『海は燃えている』とか)もこれから見るとかなり理解が違いそう。

あと「確かに」と思ったのは、「移民」と「難民」という言葉についての筆者の意見です。

難民と移民の経験にはしばしば共通点があり、多くが両方のカテゴリーに当てはまること。また、言葉の上で二つのグループを明確に定義したい人の目的は、移動する権利がある人とない人の間に線を引き、移動を阻止するべき人を明らかにすることであること。

でも、人間の移住は止められないのだと気づくべきで、阻止することよりは、移動してきた人の管理方法を考えた方がいいと。

最近はどうなってるんだったかな。一通りニュースをチェックしないと。

あと、続けて『世界の難民をたすける30の方法」あたりも読みたくなりました。

ちなみに、出発前に読んでいた『ガルシア=マルケス「東欧」を行く』も、

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帰国後に改めて読むと、イメージできることが増えてるし、ちょっとした一文の意味がよくわかって、さらに面白いです。

ということはさておき、『シリア難民』はかなりオススメの一冊。ふー。

(編)

 

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