昨日シアターZOOで見てきた、ムカシ玩具 舞香 一人芝居『神々の謡 -知里幸恵の自ら歌った謡-』
内容は、2009年東京初演時の毎日新聞の記事が詳しいので、こちらをご参照いただくとして。
でも、それ以上のものが、本作品にはあったような。
異なる民族間の差別だけではなく、同族間でも差別はあった。
自分より弱い立場の人を踏みつけることで、かろうじて立っていられる人もいるのです。
そして、理不尽な出来事である日突然弱者の側に転落する人もいるし、自分はそう思っていないのに勝手に弱者のレッテルを貼られる人もいる。
誰かより優位に立っていないと心の平穏が得られないってのは、人間にとって如何ともし難いことなのかしら。
本作品の中で苦悩し、葛藤する彼女の心の叫びは、だから全く他人事ではありませんでした。自分の境遇をありとあらゆる人のせいにしてぶつける姿は、たまらなかったなあ。
最終的に誰のせいでもなく自分の問題なのだと気付いたところに、彼女の素晴らしさがあったのですけども。
「何で自分だけ」という負の感情に流されるのではなく、「だからこそ自分にしかできないことがある」、と、思えた人は強い。
それがとんでもなく難しいことだからこそ、最後の最後に、誇りを持って立つ彼女の姿に胸を打たれました。
知里幸恵さんは『アイヌ神謡集』を出すという偉業を成し遂げましたが、仮に「自分にしかできないこと」が誰からも価値を認められなかったとして、それでも人は誇りを持って生きることができるのかな。
たった一人でも理解してくれる人がいれば、何とかいける気がするけれど…
となると、この「理解してくれる一人」の役割も重要ですね。
いろいろ終わらなさそうになってきたところで突然終わります。
(編)

 

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