2011年から始まった、北海道ダンスプロジェクト(HDP)の新たなる挑戦シリーズ。

全国公募で選ばれた作品(今回は15作品)が発表され、その場で舞踊評論家の乗越たかおさんやゲストダンサー(今回は鈴木ユキオさん)がコメントするという「公開アドバイス」をメインに、

前回の新たなる挑戦NEXT ONE賞(別名:乗越さん賞)受賞者作品、ゲストダンサー作品、HDP合同作品が発表されるという盛り沢山の内容(約4時間半!)です。

上演後すぐにアドバイスをもらえる場というのもそうないそうですが、新たなる挑戦は大きな舞台、かつ照明等をガッツリ使えるところもポイント。良い試みや。

ということで、各作品について、いざ。

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1.岡本五(埼玉県)『I’m now here, I’m no where』。

カクカクとした動きが楽しい。乗越さんのアドバイスは「もう一つ次のことを考える段階。アーティストとしてどう生きていくか、自分の作った世界を自分で壊すような展開を見せてほしい」。

2.大瀧彩乃(東京都)『いたい』。

自分的には、なぜハンガーラックなのかなーという思いも。そこにそれがあることの必然性がよくわからなかったなー。鈴木さんのアドバイスは「見ている人に”あ、そおいう痛みもあるんだ”という部分を探す作業は、もっとできるのでは」。「表現したいものによって、技術が変化していく」という言葉に、なるほどなー。

3.櫻井みづき(北海道)『此れ此れ』。

二人の違いや今の二人のダンスが見れたような気がして、気持ちの良い作品。鈴木さんからは演出について触れられていて、「誰も見たことのない、その曲の踊りを見せる」みたいなことが話されていたような。

4.中村大輔(熊本県)『旅と夢〜カラダのきおく〜』。

どう展開していくのか期待が高まるオープニングと、演劇的な1シーン感があって良かったなー。そう思っていたら、乗越さんの「身体の存在の強度が弱い。ものと身体が同等の強さを持っていないとダメで、ものとの関係に緊張感が必要。踊りというより仕草になっていて、踊りが途切れてしまう」という指摘が興味深かったなあ。その辺が演劇的な、という自分の印象につながったのかな?

5.久保田舞(埼玉県)『After the summit』。

テグス?とイヤホンの線の美しさだったり、音がこもったような静けさを感じさせる世界だったり、雰囲気があって好きでした。仁央賞候補の一つ。乗越さんアドバイスでは「ポテンシャルのある動きは節々に見えた」とした上で、「何かもったいない」と話されていたのだけど、本作は最後に鈴木ユキオ賞を受賞。各者によるこの受け止め方の微妙な差について、ご本人達と話しながら深堀りしていったら面白そうだなあ。

6.岩村明里(愛知県)『取り囲んで、ぬる〜島崎藤村『破戒』を読んで〜』。

可憐に踊り続けるバレリーナの、ちょっとした歪みが見える瞬間が良い。可憐さの陰にある歪さ。鈴木さんからは、再び演出について。「自分の身体のつなげ方の発明」「思考と身体を深めてほしい」という言葉も。

7.原正樹(神奈川県)『幽の域』。

後半ちょっと意外さが減った感があって、この二人ならもっと面白い動きの組み合わせができそうだな、という印象。「テクニックに依存しているように見えるし、真っ当なところにいるような気もする。それは見れちゃうダンスではあるけれど…」と鈴木さん。圧倒的なオリジナルなど突き出ていくために必要なこととして、「身体で考え込む」という言葉を使っていたのが印象的でした。「身体で考え込む」!

8.愛和気(宮城県)『狭間』。

異色系きたー!という感じで、こおいう作品のときこそ、アドバイザーの方は何を言うのかなと気になるわけですが。「コンテンポラリーダンスの根っこにあるのは、その人にしかできないこと。その人の身体でないとできないことが伝われば、技術の優劣を超えていく。その点で言うと、まだ開き直りが足りない。こんな自分を愛してほしいというのが残っているように見える。もっと弾けていい」と乗越さん。アツい。

9.今村朱里(北海道)『新築だった廃墟』。

新築のビニール(という捉えかな?)が外れてからは、サラッと見ちゃったなー。ここで乗越さんから、見る人から「コンテンポラリーダンス、よくわかんない」って思われがちな理由(それが起こってしまう作り手との齟齬)について説明されていて、なるほど、と。その交通整理(観客の受け取る情報と、そこから想像することを予測)をして、なおかつそれを裏切っていくことが大切だそうです。

10.森野優奈(北海道)『wanna』。

多分、自分よりは、彼女たちと同年代の子たちのためにある作品、という印象。鈴木さんのアドバイス、ちょっと聞き逃してしまった。

11.植野晴菜(埼玉県)『亡骸』。

スピードを増していく身体の動きに家族の声や記憶が重なっていくシーンは、人生の一瞬を切り取ったような高まりがあり。乗越さんは(多分その辺を)「走馬灯」と表現していて、「あー、それだ!」となった次第。

12.原田星子(北海道)『ひもが1本あったとさ。』。

個人的に、紐の突っ張り具合がもっとほしいと思ってしまったのですが。あとせっかくなので、もう少し紐と身体の関係性を見たかったな。「紐を使って3人になったときに、やれることはまだまだある」と乗越さん。衣装の重要性にも触れられておりました。

13.小助川乃依(北海道)『Light in BLUE』。

コンテンポラリーなバレエにトライした作品。「こんなやり方でできるんだ、というアイデアへの踏み込み、観客がそのジャンルへの新しい発見をできるような踏み込みは、まだまだできるのでは」と鈴木さん。

14.鈴木明倫(北海道)『天狗 -Tengu-』。

身体を前面に出さずに、闇にうごめく天狗という異界の存在を表現していたのが新鮮。明るくなる前の最後のシーンが格好良かったなあ。仁央賞候補の一つです。鈴木ユキオさんも「照明を絞って、見せないことで想像させる身体が新鮮」とした上で、「逆に照明でしっかり見えたときに、どおいう身体が見えてくるのか、というところが踏み込みどころ」と指摘。ハイレベル。

15.神島百合香(北海道)『交錯』。

4人のダンサーによる動きが楽しめる作品で、今後の札幌での発表にも俄然期待できる嬉しさがあり、文句なしの仁央賞。なんとこちら、乗越賞も受賞でした。パチパチパチ〜。

続いて、2018年新たなる挑戦NEXT ONE賞を受賞した長谷川暢さん(東京都)による『ふろむみ』。

ちなみに、2018年のときの私の感想は「長谷川暢さんの『なるほど』は、太鼓の演奏から始まって、次が読めない独自性に「おお〜」と思っていたら、まさかの!マイクとサングラスで熱唱、からの、やっぱり太鼓!というエンディング。」

今年もさらにパワーアップして、のびのび笑える独自ワールドを展開しておりました。個人的に、録音された身体の音が本人不在の舞台で鳴っていたとき、そこに身体は不在なのだけど、でも存在している感があって、不在のダンス!ってテンションが上がりました。

お次の鈴木ユキオさんの作品も、声の指示に従っていた後の、声不在になってからの身体の動きによって、こちらの想像が元の意味以上にふわっと広がる感覚があって面白かったなー。

最後は、HDP合同作品で華やかにフィナーレ。大人数のダンスも良い!

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そんなこんなで充実の4時間半。

気づかぬうちにどうしても見方が凝り固まってしまいがちなところに、年に1回アドバイザーの方々の言葉を聞くことで、自分の見方も一度リセットできるところがありがたい。

前回のブログにも書いたけれど、広い懐と、必要な厳しさを併せ持っている乗越さんの言葉に触れると、ダンスの豊かさが感じられるから、マジ尊敬。

ダンスはやっぱり良い!

※初回は見逃しているのだけど、過去の『新たなる挑戦』シリーズについては↓下からどうぞ。

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※「新たなる挑戦 NEXT ONE」(2018年)についてのブログは、こちら。

※「新たなる挑戦~New Challenge 〜Ⅵ」(2017年)についてのブログは、こちら

※『新たなる挑戦 〜New Challenge〜Ⅴ』(2015年)についてのブログは、こちら

※『新たなる挑戦 〜New Challenge〜Ⅳ』(2014年)についてのブログは、こちら

※『新たなる挑戦 〜New Challenge〜Ⅲ』(2013年)についてのブログは、こちら

※『新たなる挑戦 -NEW CHALLENGE- Ⅱ』(2012年)についてのブログは、こちら

(編)

 

 

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