25日から「ふじのくに⇄せかい演劇祭2020」ならぬ「くものうえ⇅せかい演劇祭2020」が始まり、楽しみが増えました。

※2019年、2015年の「ふじのくに⇄せかい演劇祭」体験はこちらから

初日のワジディ・ムアワッドさんによる日記の朗読は、語られる世界に没入できる時間で、素晴らしかったっす。(6日までの公開)

パリにある、現代演劇に特化したコリーヌ国立劇場の芸術監督を務めるムアワッドさん。日記の朗読は、もともとコリーヌ国立劇場のサイトに音声であげていて、動画での配信は本演劇祭仕様とな。

初日は宮城聰さんとのトークもあり。当初ムアワッドさんも、劇場ウェブサイトでの記録映像の公開を選択肢に入れながら、どうもそのアイデアに対してしっくりこなかった、と。

「演劇とは生と生の関係性」であり「一回性のもの」である。ならば、同じ形で残り続けるものをサイトに載せるのは、演劇の核心に背くことだ。そうして「そうだ、お客さんに電話をかけなければ」というアイデアが浮かんだそうです。

ムアワッドさんが突然電話をかけてきて「こんにちは〜。朗読を始めますね。20分です」って言ってるくだり、楽しい…。(トークもこちらで6日まで見ることができるので、ぜひ。)この取り組みを知って、SPACでも4月から5/6までの企画として、俳優のライブ朗読を30分聞ける「でんわde名作劇場」を始めたのだとか。(詳細はこちらから

日記の(と言っても詩のような)朗読を聞いて、言葉が織りなす世界に没入する感覚を味わい、ふと思ったのですけど、今もし自分が電話で(あるいはポッドキャストなどで)声を聞くとしたら。

戯曲よりは、詩がいいな。

語られる言葉が想像力の扉を開いて別の世界へ飛んでいける感覚と、その飛んだ世界に没入する感覚は、詩の本領なのではないかと。

1日に15分とかでもいいから、そんな時間があるなら、すごく心が軽くなる。ムワマッドさんによる日記の朗読は、そういう感覚がありました。

話戻り。

演劇祭のサイトトップには、演劇祭を中止するにあたって宮城さんのメッセージ動画も掲載されているのですが、その中にあった「演劇蟹カマボコ」的なるもの、すごくわかる。

オンラインで見る演劇の映像は「演劇蟹カマボコ」体験であって、「演劇」体験ではないんですよね。やっぱりその場に身を置いて、その時だけ立ち現れるものを目撃するって、今自分が生きているということの醍醐味だな、と思います。

(宮城さんが動画の中で「魂の水」と言っていて、まさに。)

ちなみに

ダンスの公演記録映像は、全然見る気にならないんですよね…。今それこそいろんな劇場がダンスの記録映像も公開していますが、最初から最後までしっかり見れたのって全然ない…。

最初から映像用に作られたダンス映像は別ですが、公演記録映像はダンス蟹カマボコにすらなれない気がするのは、言葉のあるなしが大きいのかなー。身体で語るものは、その場にある身体でしか感知できないというか…。

話戻り。

演劇蟹カマボコですが、私にとって演劇蟹カマボコは、いつかその場に身を置きたい劇場を知っていくための、非常に良いツールとなっておりまして。

パリのコリーヌ国立劇場も、もちろんリスト入り。

あとDavid Ireland作『Cyprus Avenue』が素晴らしかった、ロンドンのロイヤルコート劇場と以前ブログでも紹介したダブリンのアベイ劇場。(本作は2劇場の共同制作)

(↑5/31まで公開。公演の記録映像とベルファストで撮影された映像を合わせた、配信用バージョンです。)

アイルランドの英国からの独立戦争〜内戦〜北アイルランド紛争についての歴史背景は、『戦争・詩的想像力・倫理 -アイルランド内戦、核戦争、北アイルランド紛争、イラク戦争』を読んで下地があったので、それを扱う「今」の作品を見れて嬉しい…。

戦争の傷、過ちを犯した人間の傷、憎しみと暴力が人間に残す傷。本作は「ブラック・コメディ」と紹介されているのだけど、「ブラック」の濃さと複雑さと奥行きに唸る。

そして、連日レパートリー作品を楽しみにしているミュンヘン・カンマーシュピーレ(市立劇場)。

たまに英語字幕がなくて見れなかったものもあるけれど、先日のラビア・ムルエといい、自分的ハズレなしのラインナップ。絶対いつか行きたい!ミュンヘン!

で、昨夜の配信はフィリップ・ケスネ『La Mélancolie des dragons』(2008年)。

(これは当劇場のために制作した作品ではないけれど、これまで5作品レパートリーを制作しているようです。)

七人の長髪ロッカーが、メタリカTを着た車の修理工のおばちゃんに披露する、ローテクでヘンテコで詩的な、犬駆け回るおとぎの国!

チャーミングでユーモラスで、無茶苦茶好きでした…。小ーーーさなユートピアって感じで、見ていてほっこり。今だから尚更しみる…。

フィリップ・ケスネは2014年からパリ郊外(中心部からRERで20分ほど)にあるナンテール・アマンディエ劇場の共同ディレクターを務めているそうで、この劇場もリスト入り。

※7/22追記:行きたい劇場リストに、ロンドンのNational TheatreとThe Old Vic(とBristol Old Vic)もイン。

※8/10追記:行きたい劇場リストにNational Theatre of Scotlandと、8月のエディンバラもイン。

ちなみに、昨年初めてちょっとプログラムを見ることができたウィーン芸術週間でも、今年ケスネ作品を上演予定だったようで。(昨年のブログはこちら

(毎年5〜6月に開催されているウィーン芸術週間は、今年はコロナのため中止だけど、年内に一部のプログラムだけでも実施できないか模索中のようです。)

ふじのくに⇄せかい演劇祭も、ウィーン芸術週間も、来年は絶対見に行くんだい。

あと本当は、今年6月にチェコ最大の人形劇祭「スクポヴァ・ピルゼン」を見がてら、ウィーン芸術週間やシビウ国際演劇祭を見に行こうと計画しておりまして。もちろん全てキャンセルですが。

スクポヴァ・ピルゼンは、10月に延期になったんですよね。秋にはコロナの状況はどうなっているんだろう。

国際的な人の移動が感染拡大の原因で、気候変動の上でも飛行機での移動が「飛び恥」と呼ばれる昨今ですが、大陸内の移動はなるべく陸路にするなどして、私は今後も世界の芸術に出会いに行きたい。

今年はさすがに難しそうだけど、せめて来年には、その楽しみ(というか生きる希望と言ってもいい)を取り戻したいと切に願っています。

うおー。

あ、「くものうえ⇅せかい演劇祭2020」は6日まで続きますので、気になった方はぜひプログラムをチェックしてみてください。5/2の『アンティゴネ』の配信も楽しみ!

 

※4/27追記:韓国の「新しい日常」のためのソーシャル・ディスタンス指針についての記事を読んだのですが、基本的に国内外の移動は極力避け、海外渡航の際は2週間自主隔離という方針で、「専門家は2年ほどこうした「新しい日常」を続ける必要があると見ている」そうです。(記事はこちらから

わー。これは韓国の指針だけど、なんとなく世界的にも似た雰囲気になるかもですね…。うーん、国内外の人の移動がやんわり制限されるとしたら、フェスティバル系はどんな風になっていくんだろう?

 

(編)

 

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